週句 多くの者の救いとなった人々は とこしえに星と輝く
聖書 ダニエル12章3節
説教 「そこに愛はあるんか!?」 高橋周也牧師
聖書 マタイ福音書20章1~16節
「本当に天の国の譬えなのか?」
この聖書の舞台となった世界・時代において、「ある家の主人が、ぶどう園で働く労働者を雇う」。ぶどう園のオーナー、そういうことのできる人というのは、金持ちでした。ただお金をいっぱい持っていた人という意味ではないのです。どうやって金持ちになったのかというのが問題です。
イスラエルの人々は代々先祖から土地を受け継いで、そこで農業をして生きていました。当時、イスラエルの支配者はローマ帝国です。強い国に侵略され、人々は土地を奪われました。それから一部のユダヤ人たちは、そういう混乱した世の中で、困っている人に対して、土地を担保にしてお金を貸しました。そうやって労働者を雇わなければ成り立たないような広い土地を得ていったのです。そこで栽培されたのは、人々が豊かになるための野菜や果物ではなくて、ワインづくりのためのぶどうでした。それはイスラエルの庶民の人たちが飲むためではなくて、富裕層が飲むためのものでした。残念ながら2000年後の現代にも、プランテーションという言葉があります。今の時代に、カカオ豆を育てる児童労働者たちがチョコレートを口にしたことがないのと同じことが、聖書の世界にも起こっていました。私たちが岡山県産品のブドウを美味しく食べる時(私も大好きなのですが)、その裏に日本一の数の技能実習生の存在があることも無関係とは言えないでしょう。
そうであれば、この譬え話のどこに「天の国」があるのでしょうか。今日はここに立ち止まり、イエス様の真意を探ります。