週 句 だから、キリストと結ばれる人はだれでも、新しく創造された者なのです。古いものは過ぎ去り、新しいものが生じた。これらはすべて神から出ることであって、神は、キリストを通してわたしたちを御自分と和解させ、また、和解のために奉仕する任務をわたしたちにお授けになりました。つまり、神はキリストによって世を御自分と和解させ、人々の罪の責任を問うことなく、和解の言葉をわたしたちにゆだねられたのです。
聖書 コリントの信徒への手紙二5章17~19節
説 教 「出発、信仰!」 高橋周也牧師
聖書朗読 創世記31章1~13節
「民よ、神のストーリーを味わい知れ」
先週読んだ箇所(創世記28章)から今日の箇所(31章)の間には、実に20年もの歳月が流れています。この間ヤコブは親戚ラバンのもとに身を寄せました。ラバンはヤコブを口では自分の骨肉と歓迎しつつ(創世記29章14節)、それは自分の与えるフレームに留まる限りにおいてのみのことでした(「我々のところでは、そのようにはしない」29章26節=「郷にいては郷に従え!」と)。不利な力関係の中で、ヤコブは懸命に人生を切り開こうとします。その努力が功を奏した結果、31章に入ると、ラバンの一族は、ヤコブの一族に対し、立場が逆転してしまうのではないかとの警戒心を持つようになってしまいました(1節)。ラバンのヤコブに対する態度の変化によって、ヤコブは身に危険を感じました。この変化は、以前とは明らかに異なっているように見える(2節)。ちょうどその時、ついに主の導きを受け、故郷へと帰る決心となります。
この物語は、バビロン捕囚末期(ペルシア王キュロスによる解放目前の時期)に編集されたものとみられています。実は、この物語を含めて、創世記には6人の亡命者が登場するのですが、歴史的にも、イスラエルの人々は紀元前8世紀から6世紀にかけて6度の不本意な移住を経験しています。また、それらの移住は、いずれも人々にとって非自発的だったものです。そこで生き残りをかけて懸命に生きた人々にこの物語が語られたことは、イスラエルの民に自分たちのアイデンティティーを思い起こさせ、また、帰還への励ましを与えたことでしょう。神は決して、そのいずれの困難においても、ご自身の民を棄ておかれなかったのですから。
※移住者の定義について https://japan.iom.int/migrant-definition (2024年8月2日アクセス)