週 句 わたしが喜ぶのは 愛であっていけにえではなく 神を知ることであって 焼き尽くす献げ物ではない。
聖書 ホセア 6章6節
説 教 「夢物語ではないのです」 高橋周也牧師
聖書 ローマの信徒への手紙12章1~8節(参照12:9~21)
「若者は幻を見、老人は夢を見る」
最近おもしろい記事を読みました。あるお医者さんが言っているそうですが、人間の寿命を縮めるのは「もう年だから」の一言だそうです。これを言うと、臓器もそう思うようになるそうです。それから、自分はもう「何かをすべきではない」と自分自身にも制限をかけるし、周りの人にも、「ああ、じゃあこの人はもう一緒に何かするのは難しいんだな」と声をかけるべきではない/声をかけるのをためらわせてしまいます。それで、「もう年だから」と言う人は言わない人より孤立するし、何かができなくなるのが早いし、本当に寿命が短くなる傾向にあるのだそうです。
ローマの信徒への手紙を書いたパウロは、当時なら十分高齢者と言える年齢でしたけれども、夢を諦めませんでした。パウロの夢は、あのペンテコステの日(キリスト教会の始まりの時)、そこには多種多様な人々がいて、その人たちが神にあって一つであったその姿を、世界中の人々が生きることです。しかも、その「一つ」は人が誰か犠牲になって起こされるのではなく、すべての人が生かされる形でそうなってほしいと思いました。
そのパウロの夢の実現には、あまりにも妨げが多くありました。あらゆる除去が、パウロの願いと真っ向から対立してしまいます。 今朝の聖書は、そんな苦境に立たされた状況のなかでのパウロの言葉です。
パウロのビジョン・夢はパウロの生きている間に実現しなかったどころか、今なおほど遠い現実です。しかしそれでもそのパウロの言葉が聖書に記されて、今日の私たちを生かすのですから、不思議なものです。