44│2023年10月29日

岡山バプテスト教会


週句 そこで、マリアは言った。「わたしの魂は主をあがめ、わたしの霊は救い主である神を喜びたたえます。身分の低い、この主のはしためにも目を留めてくださったからです。今から後、いつの世の人もわたしを幸いな者と言うでしょう、力ある方が、わたしに偉大なことをなさいましたから。その御名は尊く、その憐れみは代々に限りなく、主を畏れる者に及びます。
聖書   ルカによる福音書1章46~50節

説 教 「深く息を吸って吐いて」  高橋周也牧師 
聖書   イザヤ40章1~8節

「ヒストリーとハーストリー」
 歴史のことを英語で「ヒストリー:History」と言います。キリスト教のなかでは、主イエス様(英語聖書ではよくHeと表記される)の導いてくださる歴史だということで、英語は「His-Story」(彼の物語)を縮めてヒストリーなのだと、言葉の成り立ちが説明されたりします。残念ながら(?)、言語学的にはそうは言えないとのことですが、私たちの大好きな愛するイエス様のことを思えば、そう表現したくなる気持ちがわからないわけでもありません。けれども、これについて、批判もあるということは知っておきたいと思います。Heの意味は、普通は彼/男ですから、「History:彼の物語」というのは男の物語じゃないか、と言われるのです。
 実際、確かにその批判は当たっていて、聖書の時代には、文字の読み書きできる人がごくごくわずかな男ばかりでした。その人たちが聖書を記し、神殿の儀式も行い、政治も行っていたわけです。だから、言ってみれば、「彼女の物語:Her-Story:ハーストリー」は、ほとんど記されていないし、語りの視点も「He」側からばかりに偏りがちなのかもしれません。
 これからの時代には、ヒストリーもハーストリーも合わせて「歴史」となるように気をつけていくとして、過ぎた時代のことについて、いわゆる“女性”に限らず文字を残さなかった人たちのことを考えたり語ったりするためには、想像力をたくましくするほかありません。考えてみれば、聖書はそもそも「神の民」の物語なのですから、このことにも向き合っていくことは必要かつ重要なことといえるでしょう。